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名刺代わりの小説10選

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#名刺代わりの小説10選

ツイッターで「名刺代わりの小説10選」なんていうタグがあること、全然知りませんでした。みなさんの10選を、とても楽しく拝見しています。

「本棚を見ればその人がわかる」とはよく言いますが、まさに、「名刺代わりの小説10選」を見れば、その人がわかりますね。(大袈裟)

自分も是非参加したいと思い、つらつらと書名を書き出し始めたのはいいのですが、10作品に絞り込む作業が、とても苦しく、そして、とても楽しいものでした。

あらためて思ったのは、その作品にいつ出会ったのか?がとても大事ということです。

もちろん、いつ読んでも「遅い」ということはないのですが、みなさんは「あぁ、もっと早くこの本に出会っていれば!」と思ったことありませんか?

結局、世代がモロにわかってしまう10選になってしまいましたが、みなさんの暇つぶしになったのであれば幸いです。

ツイートでは、タイトルだけしか記載できなかったので、若干ですがコメントを加えてみました。

もし、これを読んで興味を持っていただき、書店で手に取ってもらえたなら、うれしいです。

「青が散る」(宮本輝)1982年

新設されたばかりの大学に入学した椎名燎平。彼はテニス部を作り、テニスに打ち込んでいく。佐野夏子への恋心、友人たちの苦悩。そして王道へのこだわり。もがきながら成長していく若者たちを描いた青春小説。

聖子ちゃんの曲が主題歌として使われてドラマ化されるというきっかけで読みました。

著者:宮本氏自身が、新設大学でテニスに打ち込んでいたとのことで、当時の想いが込めれれている作品だと思います。

「青が散る」とは「青春の終わり」を意味するのでしょうか。

ドラマの中で毎回流れていた挿入歌「人間の駱駝」(大塚ガリバー)は、作詞:宮本輝&秋元康、作曲:長渕剛という豪華メンバーによる作品。

「狼のユーコン河」(西村寿行)1983年

第2次世界大戦下、日本人弾圧によりアラスカ収容所に送られた男。伝説の男ユーコン狼(ウルフ)に助けを求める妻。男の救出に向かったユーコン狼が見たのは、無謀にも極寒のアラスカを横断し日本へ帰還しようとしている日本人集団だった。

この作品については、こちらの記事でも紹介しています。

「オイディプスの刃」(赤江爆)1974年

夏の日の午後、刀研師・秋浜泰邦の肉体を、妖刀「次吉」が貫いた。後を追う母。割腹自殺を遂げる父。運命の歯車が大きく狂っていく残された異母兄弟三人。「次吉」に翻弄される者たちにまとわりつくラベンダーの香り。妖美華麗な世界を描く長篇小説。

「凄まじい」という言葉がふさわしい、まさに妖艶な世界です。妖刀と香水に浸ってください。

「家族八景」(筒井康隆)1972年

人の心を読めてしまう精神感応能力者(テレパス)七瀬は、住み込みのお手伝いさんとして様々な家庭を転々とする。家族内の心の闇を読めてしまうことで起こる哀しい出来事。

この作品だけでも十分楽しめますが、後に七瀬3部作と呼ばれる「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」が発表されました。

面白かったと思われた方は、是非「七瀬ふたたび」も読んで欲しいと思います。

3部作の1作目ということで「家族八景」を10選に採り上げましたが、実質「七瀬ふたたび」が10選入りの作品です。

でもその良さは「家族八景」を読んだ後に感じられると思います。

「九月の空」(高橋三千綱)1978年

剣道、異性、大人の社会、思春期ど真ん中。高校生が戸惑いながらも成長していく姿を描いた青春小説。(芥川賞受賞作)

実生活でも硬派だった(闘病記を出版された現在でも硬派ですね)著者による「これが硬派だ」小説の傑作。

無駄なもの削ぎ落とした著者の鋭い文体が、いま読み返しても秀逸です。

「コインロッカーベイビーズ」(村上龍)1980年

コインロッカーに遺棄されていたキクとハシ。少女アネモネに出会い、物語は大きく動き出す。世界を破壊したいと願うキク、世界に迎合するハシ。そして全編に流れる心臓の音。
コインロッカーベイビーズの行く先は。

「限りなく透明に近いブルー」で衝撃的なデビューを果たした村上龍(当時は村上龍之介)の3作目です。

「コインロッカーベイビーズ」を読んでいることが、カッコよかった時代があったのです。

この作品を村上龍の最高傑作と評価する人が多いのも頷けます。

「戦国自衛隊」(半村良)1974年

演習中の自衛隊がタイムスリップ。哨戒艇、装甲車、ヘリコプターなどの最新兵器を備えた伊庭三等陸尉を中心とする一団が放り込まれたのは、群雄割拠の戦国時代だった。

圧倒的戦力を持って戦国時代に現れた自衛隊。自分たちがなすべきとことは何か?現代に帰れるのか?隊員ひとりひとりが苦悩するなか、リーダー伊庭は決意します。

「歴史は俺たちに何をさせようとしているのか」のキャッチコピーでヒットした映画「戦国自衛隊」(主演:千葉真一1979年)をご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

作中の楽曲(「戦国自衛隊のテーマ」松村とおる「ララバイ・オブ・ユー」ジョー山中)も痺れましたね。

2005年にリメイクされた「戦国自衛隊1549」ではなく、本家をおすすめします。

「読んでから見るか、見てから読むか。」私は読んでから観ました。

「水滸伝」(北方謙三)1999-2005年

十二世紀北宋末期。腐敗した政府を倒そうと立ち上がった男たちがいた。集いし場所は梁山泊。圧倒的な政府の力を前にしながらも、命を懸けて挑んでいく男たちの胸にあったものは志「替天行道」だった。

「西遊記」「三国志演義」「金瓶梅」とともに「四大奇書」に数えられる「水滸伝」。

その「水滸伝」をベースにしながらも、著者による大胆な解釈・アレンジを加え、もはや原典とは別物と言っても過言ではない、壮大なる長編小説です。

単行本は全19巻+別巻。さらに続編「楊令伝」「岳飛伝」もあります。

ちなみに私は楊志推しです。

「B面の最初の曲」(片岡義男)1984年

2日間の短い休暇を取った彼女は、会いたい人に会おうと決める。7人の彼たちに。

コーヒー、オートバイ、そして彼女。片岡ワールドに欠かせないキーワード。この作品は「彼女」がテーマです。1ページ目を読み始めるやいなや、気づかぬうちに、片岡ワールドに溶け込んでいきます。

そもそも「B面の最初の曲」という言葉にゾクゾクしませんか?LPを裏返して針を落とす、あの瞬間を。

「プロメテウスの乙女」(赤川次郎)1982年

19XX年、軍国主義に突き進む日本。首相直轄の愛国女性軍団「プロメテウスの処女」による粛清は厳しさを増していく。反対勢力は体内に爆弾を埋め込んだ女性テロリストによる首相暗殺を企てるが。

ユーモアミステリーの旗手・赤川次郎氏が描く、近未来小説です。

赤川氏といえば、代表作「セーラー服と機関銃」や「三毛猫ホームズ」シリーズをはじめ、ユーモア溢れる爽やかな作品群が人気だと思いますが、この作品は異色です。

全編を通じて流れる暗いトーン、ピリピリした緊張感。

以上、私の「名刺代わりの小説10選」でした。

「面白そうだな」と思った作品はありましたか?

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