ツイッターで紹介した本について、内容の補足をしておきます。もし興味がわいた本があれば、ぜひ本屋さんで手に取ってみてください。
なお、新刊では手に入りにくいものや、文庫になって流通しているもの、電子書籍で入手できるものなど、フォーマットは様々です。
また、一部ネタバレを含む内容もありますので、ご注意ください。
「ガラスの動物園」(テネシー・ウィリアムズ)
大恐慌時代のアメリカ・セントルイス。母、姉、僕。息が詰まりそうな家族の関係。
1930年代、大恐慌さなかのセントルイス。母、姉、そして僕。家族3人が暮らすアパートの部屋が舞台の戯曲です。シカゴでの初演のあと、1945年からはブロードウェイで上演され、ロングヒットを記録しました。
「肉体の悪魔」(レイモン・ラディゲ)
夭逝した天才ラディゲ。人妻との不倫を描いたこの作品を書き上げた時、彼は18歳だった。
いちはやくラディゲの才能を見抜いたジャン・コクトーの勧めもあり、自らの経験をベースに執筆された、人妻と少年の恋愛悲劇。不倫という内容が、批判を浴びるとともに、評判ともなりました。
「時代屋の女房」(村松友視)
時は昭和。東京・大井町。骨董屋のオヤジを囲む温かい隣人たち。そして謎の女。
第87回直木賞受賞した村松友視の代表作。大井町に実在する骨董店「時代屋」を舞台に繰り広げられる淡い恋と、人間味あふれるご近所さんたちとの物語。夏目雅子主演による映画も製作されました。
「岸辺のアルバム」(山田太一)
一本の電話をきっかけに、崩れていく家族。家族のアルバム、マイホームは虚構に過ぎないのか。
1974年に発生した多摩川の水害で、家が流されていく様子からヒントを得て、脚本家・山田太一が執筆した新聞連載小説です。水害に遭った人たちが失った物の中で、最も残念だったのは「家族のアルバム」だったというコメントから、タイトルがつけられました。後に八千草薫主演でテレビドラマ化されました。
「日本語・新版」(金田一春彦)
1957年の青版、そしてこの1988年の新赤版。金田一春彦氏亡き後、どうすればいいのか?
日本語を母国語とする人たちに向けた、日本語とはどんな言語かを、様々な角度から丁寧に解説した、日本人必読書。今後この作品を超える日本語解説書は出て来ないのではないでしょうか。
「哲学入門」(三木清)
母国語で哲学できる幸せ。
第二次世界大戦終戦直後に獄死した哲学者・三木清による入門書。若い読者を想定し、わかりやすい表現で記されています。
序文に著者の思いが記載されているので一部引用します。
哲学に入る門は到る処にある。諸君は、諸君が現実におかれている状況に従って、めいめいその門を見出すことができるであろう。ここに示されたのは哲学に入る多くの門の一つに過ぎぬ。しかし諸君がいかなる門から入るにしても、もし諸君が哲学について未知であるなら、諸君には案内が必要であろう。この書はその一つの案内であろうとするものである。
「哲学入門」(三木清)序文
「浮雲」(二葉亭四迷)
今ではあたりまえの「言文一致」が衝撃的だった時代。リアルで体験したかったと思います。くたばって仕舞え。
言文一致体で書かれた近代小説の始まりを告げた作品です。筆名の由来については、当初坪内逍遥の名前を借りて出版したため、ふがいない自分自身に対して「くたばって仕舞え(=二葉亭四迷)」と罵ったことによると言われています。
「天の夕顔」(中河与一)
恋は成就したほうが良いに決まってる。だけど成就しない恋のほうが心に響くのは何故?
大学生が恋した女性は人妻だった。この恋の行方は。
川端康成、横光利一らとともに新感覚派として活躍した中河与一の代表作です。諸外国で翻訳され、カミュに絶賛されたとか。
「嵐が丘」(エミリー・ブロンテ)
ヒースクリフの生き様を肯定するか?否定するか?
人里離れた田舎にある館「嵐が丘」を訪れた主人公の前に現れた館の主人ヒースクリフ。彼の半生は恐ろしいものだった。
当時は女性作家への偏見が残っており、作者が女性のエミリー・ブロンテであることが公表されたのは、彼女の死後、姉シャーロット(「ジェーン・エア」の作者)によってでした。
「かもめのジョナサン」(リチャード・バック)
カモメとは自由という無限の思想だ。
全世界で爆発的にヒットした大ベストセラー。ただ餌を捕まえるためだけに飛ぶのではなく、飛ぶこと自体をどこまでも追求していくジョナサン・リヴィングストンの物語。既成概念にとらわれないジョナサンの姿は、アメリカのヒッピーたちに支持されたと言われています。
以上、オールジャンル雑食読書おすすめ本でした。
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