ツイッターで紹介した本について、内容の補足をしておきます。
もし興味がわいた本があれば、ぜひ本屋さんで手に取ってみてください。
なお、新刊では手に入りにくいものや、文庫になって流通しているもの、電子書籍で入手できるものなど、フォーマトは様々です。また一部ネタバレを含む内容もありますので、ご注意ください。
「ロビンソン漂流記」(デフォー)
ひとり無人島に流されたロビンソンが28年にわたって逞しく生きていくサバイバルドラマ。子供の頃に読んだ方も多いのではないでしょうか。穀物の栽培や家畜の飼育など、長期的視点に立った経済的側面に注目して読んでみると、新しい発見があるかもしれません。
新潮文庫版は、電子書籍だと旧訳(吉田健一)と新訳(鈴木恵)の両方が楽しめます。
岩波文庫版は上下巻に分かれていて、上巻にはこの最初の冒険が、下巻にはその後の冒険(この男は懲りずにまた冒険に出ます)が描かれています。
「銃・病原菌・鉄」(ジャレド・ダイアモンド)草思社
なぜユーラシア大陸で文明が発生し、他の大陸へ広まっていったのか?に対する解として、栽培・貯蔵が可能である麦が存在したこと、家畜化することが可能である山羊・牛が存在したことをあげています。
つまり文明の発達には、知性ではなく、「いつ・どこにいたか?」が影響したと論じています。
とても興味深い視点だと思いました。
現在は文庫化されています。
「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ)河出書房新社
上巻第1章冒頭部にエッセンスが凝縮されていますので、そのまま引用します。
歴史の道筋は、三つの重要な革命が決めた。約七万年前に歴史を始動させた認知革命、約一万二〇〇〇年前に歴史の流れを加速させた農業革命、そしてわずか五〇〇年前に始まった科学革命だ。
「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ)河出書房新社より
下巻に「アメリカ大陸発見前の世界地図」が掲載されていて、とても新鮮でした。
上述した「銃・病原菌・鉄」の著者ジャレド・ダイアモンドは生物学者、この本の著者ユヴァル・ノア・ハラリは歴史学者。
人類が過ごしてきた過程を、両者の視点の違いを感じながら、読み比べてみるのも面白いと思います。
「宇宙飛行士選抜試験」(大鐘 良一・小原 健右)光文社新書
卓越した知性だけではなく、強靭な肉体だけでもなく、閉鎖空間という極限状態においてリーダーシップを発揮する人材とは。
2008年、10年ぶりに日本で実施された選抜試験に密着したNHKスタッフによる迫真のドキュメンタリーです。
人気漫画「宇宙兄弟」の主人公・六太の奮闘ぶりを、さらに深く感じることが出来ると思います。
「クジャクの雄はなぜ美しい?」(長谷川真理子)紀伊國屋書店
化粧をしファッショナブルに装うのは女性の特権。
ヒトの世界においては、そうした見解が主流かと思いますが、動物の世界では、逆の現象が見られます。
つまり、派手に装うのはオスで、それは「メスに配偶者として選んでもらう」ためなのです。
現在入手は困難になっているようです。
「ガウディの伝言」(外尾悦郎)光文社新書
著者の外尾氏は、サグラダファミリア専任彫刻家。
「なぜサグラダ・ファミリアは、日本人の外尾悦郎に石を彫らせるのか」が参考になると思いますので、外尾氏の発言を引用しておきます。
ガウディが見ている方向を見て、彼のやりたかったことは何だったのかということを、もう毎日、毎時、毎分、毎秒考えている。
(『致知』2012年12月号 特集「大人の幸福論」より)
サグラダファミリアを訪れる前に読んで欲しい一冊です。
「ゾウの時間ネズミの時間」(本川達雄)中公新書
動物のサイズについて、数字を使いながらわかりやすく解説してくれます。
ゾウもヒトもネズミも、寿命までに打つ心臓の鼓動の数が同じなんて、びっくりしませんか?
他にも、気温の違いによって引き起こされる体のサイズの違い、一呼吸にかかる時間と体のサイズとの関係性など、驚きの連続です。
「怒りの葡萄」(スタインベック)
世界恐慌が起きた1930年代、砂嵐の被害によって故郷を追われた農民一家が、新天地カリフォルニアを目指しますが、そこは既に・・・。
資本家と農民の軋轢を描き、社会に大きな反響をおよぼした作品です。
内容はもちろんですが、文字の力に圧倒されます。
活字を追っているだけなのに、目の前に乾燥したアメリカの大地が広がり、喉が渇いてきます。
ヘンリーフォンダ主演の映画版は、アカデミー賞(監督賞)を獲得しました。
「口語訳古事記完全版」文芸春秋
読みやすい口語訳であるとともに、各ページに丁寧な解説があり、とても親切な作りです。
また、系図・地図・イラストも豊富で、理解を深められます。
とっつきにくいと敬遠していた方、他の古事記で挫折した方におすすめです。
見開き上段に本文、下段に解説というレイアウトになっているので、ハードカバーをおすすめしますが、分冊された文庫版もあります。
「ハプスブルク帝国」(岩崎周一)講談社現代新書
誰もが耳にしたことのある「ハプスブルク家」。
ですが、ハプスブルクという国はありません。
中世から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパ中央部の諸国を束ねた、国を超えた存在です。
複雑に絡み合った当時の様子を、図をふんだんに使いながら、わかりやすく解説した大作です。
以上、オールジャンル雑食読書おすすめ本でした。
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