【作品背景】神は天にいまし、この世はすべて事もなし。「赤毛のアン」(モンゴメリ)

カナダ文学
Image by Pezibear from Pixabay
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孤児院からもらわれてきたアン・シャーリー。プリンス・エドワード島の自然の中で、夢見る少女が成長していく姿を描いた、永遠の名作。

みなさん、こんにちは。めくろひょうです。
今回は、「赤毛のアン」(モンゴメリ)の作品背景をご紹介します。

あらすじ

ちょっとした手違いから、グリーン・ゲイブルスに住む老兄妹マシュウとマリラに引き取られることになった孤児アン。初めは戸惑っていたマシュウとマリラも、めちゃくちゃ元気で、めちゃくちゃおしゃべりなアンのペースに巻き込まれていく。カナダ東部の美しい島プリンス・エドワードの自然の中で、マシュウとマリラの愛情をたっぷりと受けながら、アンは少女から乙女へと成長してゆく。

作品の詳細は、新潮社のHPで。

ルーシー・モード・モンゴメリ、村岡花子/訳 『赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ1―』 | 新潮社
ちょっとした手違いから、グリン・ゲイブルスの老兄妹に引き取られたやせっぽちの孤児アン。初めは戸惑っていた2人も、明るいアンを愛するようになり、夢のように美しいプリンス・エドワード島の自然の中で、アンは少女から乙女へと成長

ルーシー・モード・モンゴメリ

ルーシー・モード・モンゴメリは1874年、この作品の舞台であるカナダ東部のプリンス・エドワード島で生まれました。

幼くして母を亡くした後、島を離れた父にはついていかずに、祖父母のもとで育てられました。学校で資格を取り島内で教師を務めましたが、祖父が亡くなると、彼が営んでいた郵便局の仕事を引き継ぎました。その間こつこつと雑誌向けの短編小説を投稿していました。

日ごろ相談相手となってくれていた牧師ユーアンと婚約後、初の長編小説「赤毛のアン」を出版し大成功を収めます。

ルーシー・モード・モンゴメリ
Library and Archives Canada / C-011299

結婚後はカナダ本土に移り住み、「赤毛のアン」の続編を書き続けました。1942年に亡くなると、生まれ育ったプリンス・エドワード島で葬儀が営まれ、葬られました。

グリーン・ゲイブルズのアン

この作品の原題は「Anne of Green Gables(グリーン・ゲイブルズのアン)」です。グリーン・ゲイブルズとは、アンが住むことになるマシュウとマリラの家の愛称で、「緑色の切妻を持つ家」であることがわかります。

孤児であったアンにとって、グリーン・ゲイブルズは初めての「自分が帰る家」であり、心のよりどころとなっていきます。

マシュウとマリラに引き取られた孤児アンの境遇は、幼くして両親と離れ祖父母と暮らすことになったモンゴメリ自身の境遇と通じるところがあるかもしれません。

モンゴメリがこの作品を書くきっかけとなったのは、「男の子と間違えて女の子を引き取った夫婦の話」という新聞記事を読んだからという説があります。

また、当時人気を博していたアメリカ人イヴリン・ネスビットがお気に入りで、彼女の写真を新聞や雑誌から切り抜いて壁に貼り、アンのモデルにしたという逸話も残っています。

プリンス・エドワード島

この作品では、四季折々の自然の美しさが随所に描かれています。丘、森、牧場、畑、池、海。そして、花、草、木。舞台となったプリンス・エドワード島が、とても素敵な島なんだろうなと想像させてくれます。

この島は、1543年にフランスの探検家ジャック・カルティエによって発見された島で、カナダの東海岸セントローレンス湾にあります。愛媛県とほぼ同じくらいの広さです。

州都であるシャーロットタウンは、カナダがイギリスから独立する際に、建国会議が開催された場所であり、カナダの連邦政府発祥の地といわれています。

マーク・トウェインの賛辞

「トムソーヤーの冒険」でお馴染みの作家マーク・トウェインは、「赤毛のアン」を読むと、モンゴメリに、

「the dearest and most moving and most delightful child since the immortal Alice」「不滅の(不思議の国の)アリス以来、最も愛され、最も感動的で、最も楽しい子」

と絶賛の手紙を送ったそうです。

Cover of Anne of Green Gables by Lucy Maud Montgomery, published 1908.George Fort Gibbs

この絶大なる賛辞は、その後の「アン」シリーズの宣伝文句として使われることになったそうです。

日本に紹介した村岡花子

日本に「アン」を紹介したのは翻訳家・村岡花子。彼女は第二次世界大戦が激しさを増す中、母国カナダへ帰国する宣教師から「アン」の原著をもらいます。戦時下という厳しい状況の中で翻訳を続け、1952年に出版までこぎつけます。この訳が現在新潮文庫におさめられています。

花岡の半生を描いたNHK連続テレビ小説「花子とアン」をご覧になった方も多いのではないでしょうか。

うるさい。けれど、それが魅力。

親代わりのマシュウとマリラ。近所に住む女の子ダイアナとの友情、お互いに反目しあいながらも良きライバルである男の子ギルバート、あたたかく見守ってくれるミス・スティシーやミセス・アランといった大人の女性たち。

男の私からすると、アンのおしゃべりには正直辟易する部分もありますが、それが、アンの魅力なんですよね。

素敵な人たちに囲まれて成長していくアンのマシンガントークを、みなさんも浴びてみませんか。

以上、めくろひょうでした。ごきげんよう。

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