元気いっぱいで、時には羽目を外すこともあるけれど、少しづつ成長していく子供たち。彼らを温かく見守り、必要な時は助け舟を出す先生たち。そしてクリスマスがやってくる。
みなさん、こんにちは。めくろひょうです。
今回は、世界30か国語以上に翻訳されている児童文学の傑作、「飛ぶ教室」(エーリッヒ・ケストナー)の作品背景をご紹介します。
あらすじ
ギムナジウムで学ぶ5人の生徒。正義感が強いマルティン、孤独でおとなしいジョニー、腕っぷしが強いマティアス、臆病者のウーリ、インテリで繊細なセバスティアン。実業学校生徒との喧嘩や、クリスマスパーティで演じられる劇「飛ぶ教室」。元気いっぱいの彼らを温かく見守るベック「正義」先生と「禁煙」さん。そしてクリスマスがやってくる。
作品の詳細は光文社古典新訳文庫のHPで。
ギムナジウム
作品の舞台となるギムナジウムとは、大学への進学を希望する生徒たちが学ぶ9年制の学校です。日本に置き換えると、おおよそ中高一貫教育+大学教養課程レベルの内容が教えられます。全課程を修了すると大学入学資格を取得することができます。
ちなみに、ドイツの大学は、日本の大学における学部の専門課程+大学院修士課程レベルで、卒業すると取得できる学位は修士に相当するそうです。
つまり、この作品に登場する子供たちは、将来を期待されているエリート層ということができます。
ドイツのクリスマス
クリスマス4週間前の日曜日からアドヴェント(カウントダウン)が始まります。ここから12月24日までの1か月間をわくわくしながら楽しむのがドイツ流クリスマス。
24・25・26日の街中は、お店は休業、交通機関も本数を減らすそうです。
朝から、ツリーの飾りつけやプレゼントの包装、そして夜のご馳走の準備を、家族や親戚が集まって楽しみます。離れて暮らす家族もこの時は帰省し集まります。
3日間のクリスマス休暇は、日本の正月休みのような雰囲気ですね。
寄宿生活を送り、家族と離れて暮らしている子供たちにとって、クリスマスに帰省することの重要性がわかります。
ナチスに抵抗し続けた作家
自由主義・民主主義を表明し、反ファシズムの立場をとっていたケストナー。ナチスが政権を取ると、執筆活動を禁止されてしまいました。
しかしケストナーの児童文学作品は既に世界中で人気があり、また外貨獲得という側面から、児童文学作品のみ、出版することを許可されました。「飛ぶ教室」は、そのような時期に出版された作品です。
ユダヤ人の血を引いていたケストナーでしたが、「自分はドイツ人である」という信念を貫き、ドイツの地で作品を書き続けました。
また、ドイツ国内で出版された本のなかで、ナチスの思想に合わないと判断されたものが焼き払われた(ナチスの焚書)際には、自分の作品が焼かれるところを見物しにいったとか。
ペンをもってナチスに抵抗したケストナーらしいエピソードですね。
まとめ
元気いっぱいで、時には羽目を外すこともあるけれど、少しづづ成長していく子供たち。
彼らを温かく見守り、必要な時は助け舟を出す先生たち。
そしてクリスマスがやってくる。
以上、めくろひょうでした。ごきげんよう。
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