【作品背景】悲恋、ここに極まれり。「椿姫」(デュマ・フィス)

フランス文学
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みなさん、こんにちは。めくろひょうです。
今回は、「椿姫」(アレクサンドル・デュマ・フィス)の作品背景を紹介します。

あらすじ

パリ社交界の華「椿姫」の異名を持つ高級娼婦マルグリット。彼女に魅了された青年アルマン。お互いに魅かれあいながらすれ違う心と心。ふたりは真実の愛をつかむことが出来るのか。

作品の詳細は新潮社のHPで。

デュマ・フィス、新庄嘉章/訳 『椿姫』 | 新潮社
椿の花を愛するゆえに“椿姫”と呼ばれる、貴婦人のように上品な、美貌の娼婦マルグリット・ゴーティエ。パリの社交界で、奔放な日々を送っていた彼女は、純情多感な青年アルマンによって、真実の愛に目覚め、純粋でひたむきな恋の悦びを

アレクサンドル・デュマ・フィス

「椿姫」は「三銃士」「モンテ・クリスト伯」などの作品で一世を風靡した大作家アレクサンドル・デュマを父に持つ、アレクサンドル・デュマ・フィスの実体験に基づいて描かれた写実主義の傑作です。

父親と同じ名前だったため、父は「大デュマ」、自身は「小デュマ」あるいは「フィス」(息子という意味)を付けて呼ばれます。

パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

誕生時は私生児でしたが、後に認知され、高等教育を受けることとなります。

20歳の頃、パリで高級娼婦マリー・デュプレシと出会い、恋仲になります。この時の体験を小説として1848年に発表したものが「椿姫」です。

後に自らの手によって戯曲化し、その舞台も大成功をおさめ、現在でも上演され続けている人気作となりました。

また、オペラ王ヴェルディによってオペラ化され、こちらも世界中で人気を博しています。

高級娼婦

主人公の「椿姫」ことマルグリットは高級娼婦です。男性の、酒や食事、そして夜の相手をする女性です。対価として、金銭を受け取ります。愛人といった感じでしょうか。

娼婦の中でも「高級」と呼ばれる女性たちは、その相手が、王族や貴族といった階級の高い男性たちです。したがって、容姿の美しさだけではなく、知的教養レベルも高くなくてはなりませんでした。

パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

また、一方的に男性に隷従するわけではなく、愛人になるかどうかの選択権は、娼婦の側にもありました。自分が気に入らない相手であれば、いくら階級がたかくても、いくら資産を持っていても、断ることができたのです。花魁みたいですね。

そんなマルグリットに恋をしたアルマン。彼はマルグリットの心を射止めるため、あらゆる手段を尽くしていきます。

当時のパリ

作品の舞台となった当時のパリは、ヴィクトル・ユーゴーが「レ・ミゼラブル」で描いた激動の時代の直後です。社会の中心が貴族階級から労働者階級へ移っていく、七月王政から第二共和政、そして第二帝政への移行期でした。

パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

そのような社会の混乱が、この作品には描かれていません。浮世離れした上流階級の日常を垣間見れることも、この作品の楽しみどころです。

ちなみに、第二帝政の主役であるナポレオン3世は、パリの近代化を推し進め、広く直線的な通りや放射状に広がる通り、また大きな公園を整備しました。

現在に至るパリの街の構造は、この時に作られました。

男を破滅させる女

マルグリットは作品の中で「マノン・レスコー」を愛読しています。

「マノン・レスコー」は「椿姫」から100年以上前(1731年)に発表された作品で、男を破滅させる魔性の女マノンが主人公です。

「心と肉体は別物であり、大事なのは心である。」というマノンの価値観を、マルグリットはどう読み取ったのでしょうか。

マルグリットとアルマンの価値観のずれ。すれ違う心と心。マルグリットの想い。

病に臥せるマルグリットの日記に書かれていた彼女の本心とは。

悲恋、ここに極まれり。

以上、めくろひょうでした。ごきげんよう。

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